2012年12月09日

土へのアクセス件を買う

11月18日に「資産形成と資産運用について今一度考えなおす」というエントリーをおよそ4年ぶりに書いたのですが、そのきっかけになったのがこの1冊。副島隆彦さんの「個人備蓄の時代 自衛自活の"要塞"を築け!」です。



過去数年を振り返ってみると、リーマン・ショックと津波被害と原発事故を伴った東日本大震災は、価値観を根底からくつがえすと言ってもいいくらい、とてつもなく大きな出来事でした。

日本だけでなく世界中が不景気で、そんななかで余裕資産を運用するという“バブルな考え方”は浮き足立っているように思えましたし、災害がきっかけでなくとも、いついまある普通の生活がなくなってしまうかもしれないという不安にもさいなまれてしまいます。

世界の景気が再び上昇し、2008年以前と同じ生活に戻れるなら、積極的な資産形成に励んでいいのかもしれません。しかし、そんな保証はどこにもない。副島隆彦さんは「頼りになるのは自分だけだ」と何度も繰り返します。

「楽してボロ儲け」を目指す積極的な資産運用とは別に、「生きていくために心配のない生活」を目指すお金の使い方もあります。本書で強調されているのは後者です。そのために(1)食料を蓄え、(2)エネルギーと食料を自給し、(3)自らの城を築けと言います。

この主張を真に受けると、なんとも北斗の拳やマッドマックス的な世紀末を思い起こさせますが、そんなサバイバルを想像しなくても、これだけのことをやっていれば、ひとまず「生きていくために心配のない生活」が実現できることは間違いありません。

余裕資金があれば、さらにお金を生み出す金融資産に投資しがちですが、余裕資産をいわば生活防衛に振り向けてみるだけで「最悪、死ぬことはないだろう」という安心が構築できるでしょう。

副島さんは熱海に5坪(16.5平米)の畑を耕し、30坪(99平米)の果樹園に80本の果樹を持っているそうです。東京とりわけ23区に住んでいると、「土へのアクセス件」はありません。マンション暮らしであれば、賃貸か購入かを問わず、土を耕して野菜を自給するというのは困難です。しかし、地方都市であればそれを可能にする土地が手に入る。そうすれば食料を蓄えることができる。

手元に500万円の現金があったとしたら、株や投信に投資するというお金の使い方があります。しかし、副島さんが指摘するのは、その500万円で熱海や軽井沢の“打ち捨てられた”別荘を買うというお金の使い方もあるということです。目的はもちろん、上に書いたような「土へのアクセス件」を買うためです。

熱海の一戸建て物件を見てみてください。500万円前後で土地付き一戸建てが手に入ります。軽井沢の一戸建て物件にしてもそうです。

軽井沢は山がちで陽の当たりも悪そうなので、畑ができるような土地が手に入るかどうかはちゃんと検討したほうがよさそうですが、畑を持ち、野菜を育て、自給できるバックグラウンドを持つことは心の安心につながります。住居と土地を買うという意味では不動産投資なのかもしれませんが、それは不動産そのものに価値を見出すのではなく、「自給できるバックグラウンドを買う」という、お金の使い道が大きく異なります。

昔から人が生活していく上で必要な基本的要素は衣食住だと言われます。そのうち食と住が余裕資金の500万円で手に入るとしたらどうでしょうか? もちろんいい物件を買おうとすれば額は上がっていくでしょうけれど、買うのは不動産ではなく安心です。

別荘を所有するというと贅沢な消費スタイルに聞こえます。スローライフとかロハスとかいう生活スタイルは、それはそれで効用として楽しみ、生活防衛のために余裕資金を「土へのアクセス件」に回すという、この選択肢は大いに「アリ」なのではないかと個人的には思っています。

posted by ねこすけ at 20:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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