2008年08月26日

暴走する資本主義

クリントン政権時代の労働長官を務めたロバート・B・ライシュが著した『暴走する資本主義』は、爆裂的に面白かったのでちょっと紹介させていただきます。

米国型資本主義は、近い未来において破綻すると言われいます。それは2010年だという人もいるし、2011年だという人もいるし、2012年だという人もいます。いつ破綻するかは、そう重要ではなくて、多くの経済学者が、いまの資本主義に危機感を抱いていて、多くの市民もこれに大きな不安を抱いています。

特に、格差社会の進展は、とても深刻で、アメリカと同じような格差のあり方が、日本にも浸透してきていることは、誰もが知っています。年収何10億円も稼ぐ経営者がいる一方、年収300万円にも満たないワーキングプアがいます。これは昔のような搾取なんでしょうか? 蟹工船が売れているらしいですが、当時の資本家vs.労働者の関係は、いまでも成り立つんでしょうか? どうもそうではないらしい。

この本によると、僕たちには3つの側面があります。投資家の側面、消費者の側面、そして市民の側面です。

投資家としての僕たちというのは、直接的な株式投資をしている僕たちという意味もありますが、年金を支払っている僕たちも間接的な投資家です。なぜなら年金の資金は株式市場で運用されるからです。株式市場で資金を運用している以上、僕たちは損をしたくありません。投資先の会社が大きな利益をあげ、大きなリターンを生んでもらわなければなりません。そうでないと、老後の生活が成り立たない……。そこで株主&ファンドマネジャーらは、「だらだらせんと、とっとと儲けんかい!」と、上場企業の経営者に大きなプレッシャーを与えます。経営者が大きな利益を生めば、株価は上昇。「○○社長万歳!」。僕たちは大喜び。経営者は大きな報奨金を得ることになります。

次に消費者の側面です。企業が大きな利益を生むためには、販売価格や生産コストを下げなければなりません。グローバライゼーションによって、海外からは激安商品が流れ込んでおり、この競争に勝たなければならないのです。経営者は、利益を最大化するため、市場に安い商品を提供します。消費者としての僕たちは、大喜び。日本でもプライベートブランドが、大きな注目を浴びていて、賃金の上がらない僕たちの生活を支えてくれています。「お買い得商品万歳!」。

しかし、僕たちは、投資家や消費者であると同時に、市民=労働者でもあります。生産コストを下げるがために、僕たちの賃金が上がらないのでは? お買い得商品を買うために、僕らは賃金の上昇を抑えられているのでは? だとしたら、投資家としての僕たちや、消費者としての僕たちの利益が、僕たち自身の首を絞めていることになる。

どこかで、自分たちの欲望にブレーキをかけないと、格差社会はどんどん進展していくかもしれません。こんな話が、アメリカ社会の実情を交えて、ことこまかに書かれています。

僕たちが参加している資本主義の市場がどんな状態で、どういう環境を生みだしているのか。資本主義が生みだしている矛盾を読み解く、ひとつの視点を与えてくれる良書だと思いました。


posted by ねこすけ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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